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街を生きた博物館に!どこでも博物館の実現に向けて

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    街のあらゆるモノの情報をすぐに知ることができる、街全体がまるで博物館になったような体験ができる「どこでも博物館(ユビキタスミュージアム)」を実現するべく、イノラボでは竹村真一氏とさまざまなチャレンジをしています。

     

    街を生きた博物館に!どこでも博物館の実現に向けて

    街を歩いているとき、建物や街路樹、道の幅など、なぜそうなっているのかと思うことはないでしょうか。街のあらゆるモノの情報をすぐに知ることができる、街全体がまるで博物館になったかのような体験をすることができる「どこでも博物館(ユビキタスミュージアム)」を実現するべく、イノラボでは竹村真一氏とディスカッションを重ねながら、さまざまなチャレンジを行っています。

     

    ※ユビキタスミュージアム構想とは、京都造形芸術大学教授、竹村真一氏が提唱しているコンセプトです。

    ユビキタスミュージアム

     

    デジタル世界に自己完結するのでなく、「旅」という身体全体で世界と関わるプロセスを、ユビキタス技術を使って豊穣化/多次元化するようなメディア・デザイン。

    ケータイ時代ならではの新しい「旅」のスタイルの提案であり、物理空間と情報空間、まちの現在と過去が重なりあった、新しい街づくりの実験でもある。

     

    ユビキタスミュージアム | Earth Literacy Program

     

    街の情報が見えるって、どういうことだろう?

     

    街のあらゆるモノの情報をすぐに知ることができる「どこでも博物館」。しかし、街には膨大な種類のモノが存在しており、そのまますべての情報を見られたとしても、見る側はどのように見たらいいかわからなくなります。

    そこで、情報をどのように整理して、どのように伝えるかを検討するため、たくさんのラフアイディアをチームで出し合いました。街の情報が見えるとどんなことが考えられるのか?出したアイディアを集約し、いくつかのシーンやシナリオを想定して検討を開始しました。

     


    アイディアをラフな形で見えるようにします。

     

    現実の街を拡張して、情報を見る

     

    私たちがいつも持ち歩いているスマートフォン。その処理能力やカメラの性能は、そのコンパクトさからは想像もつかないほど、高性能化が進んでいます。街を歩いているときに自然な形で情報を見るインターフェースとしてスマートフォンを活用することで、どこでも博物館を簡単に使えるものにできるのではないかと考えました。

     

    街の中にあるモノには、名前すらわからないモノがたくさんあります。それらを調べるためには、キーワードで調べることは難しく、見たままのモノを調べることができる機能が必要です。また、調べたモノをわかりやすく見ることができる、表示のデザインも必要です。スマートフォンを活用して見たままのモノを調べ、わかりやすく表示するためには、いくつかのテクノロジーを駆使する必要があります。

    物体認識技術

    見たモノが何なのか。それをスマートフォンが判断するためには、物体認識の技術が必要になります。ある物体を画像で学習させ、学習した結果からスマートフォンに写した物体が何なのかを判断させます。

    今回の検証では、機械学習の結果を活用し、スマートフォン単体で物体認識を行えるか検証しました。

     

    実物へ情報を重ねて表示するAR(拡張現実)の技術

     

    どこでも博物館は、街の中で使うことで、「知的好奇心を刺激するものにしたい!」という思いがありました。「情報を見るデザイン」として、スマートフォンに写した実物に情報を重ねて表示させることで、わかりやすく、そして楽しく見ることができるようになるのではないかと考えたのです。

     

    そこで、カメラでとらえた実物に情報を重ねるための技術として、AR(拡張現実)技術を採用することにしました。AR技術とは、実空間に存在する二次元バーコードなどの「マーカー」を認識し、映像に情報を重ねて表示させる技術です。

     

    どこでも博物館では、街に存在するあらゆるモノを調べられる世界を目指しています。それを実現するためには、従来のマーカー方式ではなく、物体そのものの狙った位置へ情報を重ねることが必要になります。

    今回の検証では、物体の位置関係を認識し、情報を重ねて表示することも検証しました。

     

    検証用プログラムを作成

     

    どこでも博物館の技術検証と並行して、竹村真一氏とともにスマートフォンのGPSやジャイロを活用した「東京P.P.F.Map」というアプリの試作も行いました。P.P.Fとは”Past(過去)”、”Present(現在)、”Future(未来)”の頭文字をとったコンセプトワードです。「街を生きた博物館にしよう」というコンセプトの有用性を検証するべく、街の歴史を探索することができるアプリです。

     

     

    このアプリを使って、「物体に情報を重ねて表示する」という技術の検証を行うために、東京駅や銀座の和光ビルとその周辺のスポットを認識し、それらの情報を見ることができるプログラムも試作しました。

     

    実際に体験してみて

    チームメンバー全員で、東京P.P.FMapを見ながら、実際に東京駅から和光ビルまで歩きながら体験をしました。位置情報と連動しているため、近くにどのようなスポットがあるかを探しながら歩きます。さらに、地図を古地図に切り替えることで、「江戸時代、ここはどのような場所だったのか?」ということも理解しながら歩くことができます。

     

     

     

    東京駅では、大きなレンガ造りの丸の内駅舎が実際に認識でき、その上に山手線のCGを走らせることができました。

     

    これは、丸の内駅舎を画像で学習させ、その学習データを使用して、スマートフォンのアプリで物体認識をしています。併せて、空間情報を使用して、実際の山手線が走っていると考えらえる位置に、山手線のCGを表示することで実現しました。

     

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    体験会の終着点である銀座の和光ビルも、実際の建物を素早く認識して、情報を見ることができました。

     

     

    チームメンバー全員が実際に外で体験をし、可能性を感じる点や改善が必要な点を、共通認識として持つことができました。

    また、チームメンバー以外にも試作プログラムの体験をしてもらい、アンケート評価を行うことで、コンセプトやユーザー体験のブラッシュアップの方向性も見えてきています。

     

    どこでも博物館の実現に向けて

     

    街全体がまるで博物館になったかのような体験をすることができる「どこでも博物館(ユビキタスミュージアム)」の実現には、物体をより正確に認識させることや物体に情報を重畳させる技術、さらに情報をどのようにユーザーに提供するかなど、まだまださまざまな困難が存在しています。

    イノラボではそれらを解決し、どこでも博物館を実現させるべく検討を続けています。

     

    text:澤畑 祥太